「太れるプロテイン」には価値があるのか?

「太れるプロテイン」というキーワードがあるということは、プロテインを飲むことで「太りたい」層がいるということだ。今回は太れるプロテイン、通称、「ウェイトゲイナー」や、太るための効率的な方法についてまとめる。

太るなら「太れるプロテイン」よりも効率的な方法を選択するべきだ

プロテインには、ホエイやカゼインといった「原材料」の違いや、さまざまな「フレーバー」など、豊富な種類がある。さらには、「目的」によってプロテインを分けることもできる。

たとえば、プロテインを飲む目的のひとつとして、「太る」ということがある。しかしながら、太るといっても、太ること自体が目的になるのはおかしい。つまり、「太る」とは、なにを増やすということなのか?を、しっかりと考えなくてはならない。

この「なにを増やすのか?」という問いは、太りたいと考えた「背景」や、その「ゴール」から考える。競技選手のように「筋肉」を増やしたいのか、体型の好みとして「体脂肪」を増やしたいのかといったことだ。

いずれにしても、「太る」という目的を達成するために「太れるプロテイン」を買うくらいであれば、より効率的な方法を選択するべきだと考える。その理由は下記のとおりだ。

  • 「太れるプロテイン」は存在する
  • プロテインは太るためのものではない
  • 太りたければ効率的な方法がある

「太れるプロテイン」は存在する

「太る」原則はひとつであり、どのようなプロテインでも飲み過ぎれば太る。太るためのプロテイン「ウェイトゲイナー」であっても、この原則にしたがい「太る」か「痩せる」かが決まる。

飲み過ぎれば太る

どのような目的でプロテインを飲むにしても、プロテインを飲み過ぎれば当然のように太る。

「太る」のか「痩せる」のかを決めている原則は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスである。仮に、食べものを食べずにプロテインしか飲んでいなくても、プロテインからの摂取カロリーが消費カロリーよりも多ければ、飲んだプロテインは筋肉だけでなく体脂肪にもなりえる。

人がプロテインからたんぱく質を体内に取り込むと、たんぱく質は時間をかけてアミノ酸に分解される。アミノ酸は筋肉などの細胞の再合成に使用されるが、合成が促進されていなければ、体内は「たんぱく質あまり」の状態になる。結果として、「あまった」たんぱく質は体脂肪として体に蓄積されるという仕組みだ。

プロテインとは、その名前のとおり「たんぱく質」である。たんぱく質は体のなかで1gあたり4kcalのエネルギーになる。つまり、1回24gを摂取すると、脂質や炭水化物が若干含まれていることもあり、約100kcalものエネルギーになる。

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太るためのものもある

また、体重の増加を意識した太るためのプロテイン、通称、「ウェイトゲイナー」系プロテインもある。しかし、「太る」ための原則は変わらない。

つまり、ウェイトゲイナーを飲んだところで、摂取カロリーが消費カロリーよりも多くなければ太ることはない。ウェイトゲイナーは通常のプロテインよりも太り「やすい」プロテインであるということだ。

ここで、ウェイトゲイナーとは、プロテインに「マルトデキストリン」を配合した商品のことである。マルトデキストリンは糖質であり、体内ではたんぱく質と同じ1gあたり4kcalのエネルギーになる。

また、マルトデキストリンはグルコースをいくつか結合したものであるため、甘さが控えめである。したがって、マルトデキストリンはグルコースより一度に多くの量を摂取することができる。

つまり、糖質をたんぱく質と同時に摂取することでカロリーを増やすことが、ウエイトゲイナーの狙いだ。しかしながら、「プロテイン」として一度に摂取する量が変わらなければ、たんぱく質が減り糖質が増えるだけで、摂取カロリーの増加は期待できない。たんぱく質も糖質も体内でのエネルギー量は同じため、どちらかがより太り「やすい」ということはないからだ。

プロテインは太るためのものではない

プロテインは「太る」ことを目的としたサプリメントではない。また、「太る」ことが目的であっても、「体脂肪」の増加ではなく「筋肉」の増加によって太りたいはずだ。したがって、プロテインは「筋肉」を増やすためにあるべきだ。

目的は「太る」ことではない

プロテインで太ることはできる。また、太りやすいプロテインもある。しかしながら、プロテインを飲む目的は「太る」ことではないはずだ。

プロテインを飲む目的は、筋肉の「材料」として、適当な量のたんぱく質を確保することだ。筋肉を再合成するにはたんぱく質が必要なため、食事だけでは補えないたんぱく質を「サプリメント(補填)する」ということである。

筋肉が増えることで体重も増えるが、体重が増えることはあくまで筋肉が増えることによる「副産物」である。また、筋肉を増やすために「若干の」体脂肪が増えることを許容した結果でもある。この因果関係はとても大切なことだ。

「体脂肪」を増やすなら簡単だ

因果関係を取り違えて「太る」ことが目的になると、おそらく望んだ結果にはならない。たとえば、「体脂肪」を増やしたいだけなら簡単にできる。

「太る」ための原則は前述したとおりだ。摂取するカロリーが消費するカロリーよりも多ければかならず太る。しかし、ただ摂取カロリーを増やしただけでは、太るのは「筋肉」の増加によってではなく、「体脂肪」の増加によってだ。

たんぱく質であれ糖質であれ、消費カロリーから「あまった」エネルギーは、体脂肪として体内に蓄積される。そのように考えると、体内でのエネルギー量がもっとも高い「脂質」を多くとれば、簡単に「体脂肪」を増やすことができるというわけだ。

「筋肉」を増やすことが目的だ

結局のところ、プロテインを飲むのは「筋肉」を増やすためだ。「太りたい」と思うなら、その欲求の背景にあるものを考えなくてはならない。

「体脂肪」を増やすことで「太りたい」と思う人はいない。プロテインは「筋肉」を増やすためにあるのであって、単純に「太る」という目的のためにあるのではない。「太る」のは、「筋肉」を増やした結果である。

したがって、目的に沿った適当なサプリメンテーションが、もっとも効率的な方法であるということだ。摂取カロリーを消費カロリーよりも増やしたいがためにウェイトゲイナーを飲むことは、効率的な方法ではない。

「太れるプロテイン」は一石二鳥のように思われるが、実際は「筋肉を増やすこと」と「太ること」は因果関係にあるのであって、並列した目的にはなりえない。つまり、アウトプットは「二鳥」ではない。

太りたければ効率的な方法がある

ウェイトゲイナーには、摂取カロリーに占めるPFCバランスを微調整できないという欠点がある。ウェイトゲイナーにも配合されている「マルトデキストリン」だけを購入すれば、この問題は解決する。

ウェイトゲイナーは微調整できない

太るための方法としてウェイトゲイナーをおすすめしない理由は、PFCの微調整ができないからである。

ウェイトゲイナーは、「プロテイン」と「マルトデキストリン」を主成分として配合したものだ。これらを同時に摂取するメリットはあるものの、PFCバランスという観点で考えると、ひとつの商品に配合されているメリットはあまりない。

なぜなら、適当なPFCバランスで摂取カロリーを設定しているときには、「たんぱく質」だけを摂取したいときや、「糖質」だけを摂取したいときがあるからだ。

たとえば、就寝前にはたんぱく質を摂取しておきたいが、エネルギーを消費しなければ糖質を摂取する必要はない。また、トレーニング前やトレーニング中には、糖質を摂取することによる運動パフォーマンスの向上を狙いたい。

つまり、「たんぱく質」と「糖質」は、それぞれの用途にあった適当なタイミングで摂取できることが好ましいということだ。

マルトデキストリンを買うべきだ

したがって、ウェイトゲイナーよりも効率的に太りたいなら、「プロテイン」は筋肉の材料としての用途に限定して、摂取カロリーの増加または運動パフォーマンスの向上用途として、前述した「マルトデキストリン」だけを購入したほうがよい。

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タイミングの問題

マルトデキストリンを購入するべき最大の理由は、糖質だけを「適当な」タイミングで摂取することができることだ。糖質の特徴は、なんといっても運動するためのエネルギーになることである。

減量期間における糖質不足を経験すると、糖質による運動パフォーマンスへの影響というのはよく分かるものだ。運動パフォーマンスを向上させ、かつ消費カロリーを増やせるのであれば、「筋肉」の増加と相性がよいことは自明だ。

飲みやすさ

また、マルトデキストリンには飲みやすいという特長がある。糖質のため甘味はあるが、砂糖のような甘味はなく、30gほどであれば水に溶かして飲むことができる。

30gのマルトデキストリンでも、摂取カロリーは120kcalになる。1日のなかで30gずつを複数回摂取していけば、摂取カロリーを増やすことができる。

コストメリット

また、ウェイトゲイナーよりも、「プロテイン」と「マルトデキストリン」を別々に購入したほうがコストメリットがでる。ウェイトゲイナーはいわゆる「セット商品」のため、価格が割高である。

プロテインとマルトデキストリンを別々に購入しても、シェイカーで混ぜて飲めば、ウェイトゲイナーと同じ成分になる。

ちなみに、プロテインシェイカーは小型でシンプルな構造のほうが、壊れにくく長持ちする。経験上、「飲み口」がついているものは、飲み口に亀裂が入りやすい。カップと蓋だけのシンプルなシェイカーで必要十分である。

そのほかの効率的な方法は?

「筋肉」を増やすために太るときは、運動パフォーマンスに影響する「糖質」を増やすことがもっとも効率的である。しかしながら、そのほかに方法はないのかを考えたい。

「脂質」で太る

前述したとおり、単純に「太る」だけであれば、1gあたり9kcalのエネルギーがある「脂質」を増やすことが、もっとも簡単なやり方だ。

しかし、脂質はホルモンバランスを整えるうえでは必要な栄養素であるものの、筋肉の材料にならなければ、運動パフォーマンスの向上にも寄与しない。

そのため、PFCのなかでも摂取するべき優先度は低い。摂取カロリーに占める脂質の割合も、20〜25%ほどが適当だといわれている。

例外としては、ケトジェニックのように極端な糖質制限をすることで、脂質をエネルギー源に代えることができる。しかし、ケトジェニックはダイエット手法であることから、「痩せる」ための手段である。

吸収効率を改善する

もし、プロテインやマルトデキストリンを摂取しても体重が増えないのであれば、その原因は栄養の吸収にあるかもしれない。

太る原則はひとつだが、消費カロリーや摂取カロリーがバランスする数値は人によって異なる。このカロリーバランスの数値が高い人を、「ハードゲイナー」という。

ハードゲイナーが太るためには、人よりも多くのカロリー摂取が必要だ。しかし、摂取カロリーを増やすにも限界がある。

そのようなときは、「エビオス錠」などの整腸剤によって、栄養の吸収効率を改善していくという手段も考えられる。

エビオス錠には整腸効果があるとされ、プロテインの過剰摂取によって腹の調子がわるいときに飲まれることも多い。

同社の「スーパービール酵母Z」に期待される効果も同じで、こちらには亜鉛が配合されている。また、一回に摂取する量が10粒から5粒に減っていることはメリットである。