モンベルのパーマフロストダウンパーカはアクティブ派が買うべき

パーマフロストダウンパーカはコスパ最強の防寒着だ。また、アクティブ派にオーバースペックはオーバーではない。そして、インドアメインだとオーバースペックなことは事実だ。したがって、モンベルのパーマフロストダウンパーカはアクティブ派が買うべき

パーマフロストダウンパーカはコスパ最強の防寒着だ

モンベルは実用性を重視した服装をつくる。防寒性能は価格の差で妥協してはいけない。パーマフロストダウンパーカは妥協しない。よって、パーマフロストダウンパーカはコスパ最強の防寒着だ

モンベルは実用性を重視した服装をつくる

モンベルのコンセプトは"Function is Beauty"と"Light & Fast"である。日本語では「機能美」「軽量と迅速」だ。これらの言葉から分かるように、モンベルのモノづくりは実用性にステータスを振っている。

モンベル創業者の辰野勇自身が日本のトップクライマーだ。だから、モンベルは登山などのアクティビィティで本当に「使える」アウトドア用品をつくるために創業されたといえる。

アウトドアブランドのなかには、本格的なアウトドア用品をつくるブランドと、それらを模倣したファッションとしてのアウトドア用品をつくるブランドがある。モンベルは間違いなく前者に分類されるブランドだ。

アウトドア用品の優劣は技術の差で比べられることが多い。この技術という点でも、モンベルは最先端の素材を使ったり独自の技術を開発することで、アウトドア用品全体のバリューアップに貢献してきた。

防寒性能は価格の差で妥協してはいけない

ダウンジャケットのようなアウターは重ね着をする服装ではない。体温が上がったときはアウターを脱げば済むが、体温が下がったときに持ち歩いている以上の服装を着ることはできない。つまり、「防寒」が目的のアウターに妥協はない。

防寒アウターの価格にはふたつのプレミアムが乗っている。ひとつは「防寒性能」であり、もうひとつが「ブランドライセンス料金」だ。後者のウェイトが大きい一部のブランドを除けば、防寒アウターの価格は防寒性能と比例している。

たとえば、モンベルの「パーマフロストダウンパーカ」は、ユニクロの「ウルトラライトダウン」の五倍の価格だ。当然この価格差と同じように、防寒性能が五倍になるわけではない。

しかし、パーマフロストダウンパーカには、ウルトラライトダウンでは再現できない防寒性能がある。そして、その性能差を価格面で妥協してしまうと、対「寒さ」の点でリカバリーすることができなくなる。

パーマフロストダウンパーカは妥協しない

モンベルのダウンジャケットのなかでも、パーマフロストダウンパーカは最高ランクに近い「保温性」を持っている。街着としても使えるダウンジャケットでは、もっとも高い保温性だ。

モンベルのダウンジャケットの保温性は、「ポーラーダウン」「ベンティスカダウン」の順番で高い。しかし、ふたつとも登山向けのデザインになっている。ポーラーダウン、ベンティスカダウンの次に保温性が高いのが、パーマフロストダウンパーカになる。

パーマフロストダウンパーカもモコモコと厚みがあるが、フードのデザインが控え気味で街着としても着られる。

生地の構造は上位モデルと同じ「ボックス構造」になっている。ダウン入り生地の表地と裏地を一定間隔で縫い合わせる「シングルキルト構造」とは異なり、ダウン入りの箱をつなぎ合わせて生地をつくるイメージだ。

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アクティブ派にオーバースペックはオーバーではない

オーバースペック議論には上限がある。アクティブ派は上限がないことも多い。ゆえに、アクティブ派にオーバースペックはオーバーではない

オーバースペック議論には上限がある

そもそも何かがオーバースペックであるという主張には、オーバーする「スペック」という名の「枠組み(上限と下限)」が前提にある。つまり、基準となる枠組みがなければ、オーバースペック議論はできない。

「この車の性能は公道ではオーバースペックである」という主張には、公道には速度や道路幅といった制限があることを前提にしている。この前提が誰でも知っていることであればあるほど、この主張の説得力が上がる。

しかし、この主張を制限速度や道路幅が日本とはまったく異なる地域に住む人が聞けば、前提となる枠組みも異なるために主張の確からしさは下がってしまう。

アクティブ派は上限がないことも多い

冬場は車や公共交通機関でしか移動せず、その移動範囲が都心部に集中している人には、アクティブ派の寒さの上限が分かりにくい。雪山を登山する純粋なアクティブ派でなくても、寒さの上限は簡単に上がる。

たとえば、冬場にバイクや自転車を運転する人は、体の正面から冬の冷たい風を受ける。だから、ダウンジャケットには保温性だけでなく、表地から風を通さない「防風性」も必要だ。

防風性がなければ、たとえ保温性に優れたダウンジャケットであっても、すぐに体温は下がってしまう。少しでも屋外アクティビティで使うことを想定するなら、「街着」でのスペックだけで防寒着を選んではいけない。

インドアメインだとオーバースペックなことは事実だ

ダウンの品質が登山用レベルに高い。ウインドストッパーが風を通さない。マフラーなしで首周りが温められる。よって、インドアメインだとオーバースペックなことは事実だ

ダウンの品質が登山用レベルに高い

パーマフロストダウンパーカの保温性は、モンベルのダウンジャケットのなかでは三番目に高い。そして、パーマフロストダウンパーカより保温性が高いポーラーダウンとベンティスカダウンは、雪山登山でも使えるレベルだ。つまり、パーマフロストダウンパーカは雪山登山用途に匹敵する保温性があるということだ。

ダウンジャケットの保温性を測る指標のひとつに「フィルパワー(FP)」がある。ダウンとは「ダウンフェザー(羽毛)」のことだが、羽毛1オンスあたりの体積をフィルパワーで表す。つまり、フィルパワーが高いほど羽毛の嵩が高く、品質の高いダウンとされる。

フィルパワーによる羽毛の品質には基準があり、600〜700FPは良質、700FP〜は高品質とされる。モンベルは高品質のなかでもとくにフィルパワーが高い800FP以上の羽毛を、「EXダウン」と呼んでいる。

パーマフロストダウンパーカで使う羽毛は800FPであり、ポーラーダウンやベンティスカダウンと同じである。モンベルには900〜1000FPの羽毛を使ったダウンジャケットもあるが、保温性はパーマフロストダウンパーカよりも低い。

フィルパワーは羽毛単位での品質を表している。すなわち、保温性との相関はあるが、ジャケットとしての保温性をフィルパワーだけで議論できるわけではない。

具体的には、フィルパワーが高いダウンジャケットでは、使用する羽毛の量を減らして保温性を上げることができる。だから、モンベルにおける900〜1000FPのダウンジャケットは、軽量な中間着として設計される傾向がある。

これがパーマフロストダウンパーカよりもフィルパワーが高い羽毛を使ったダウンジャケットの保温性が、パーマフロストダウンパーカよりも低い理由だ。

ウインドストッパーが風を通さない

パーマフロストダウンパーカは、表地に「ゴアテックス インフィニアム ウインドストッパー」を使っている。この素材の特徴は、高い「防風性」と「透湿性」にある。

高い「防風性」「透湿性」とは、外部から内部への風は通さないが、内部で発生した汗(水蒸気)は外部へ排出する仕組みだ。つまり、風が強く気温の低い天候でも、アクティブに過ごせるのがウリになる。

しかし、実際には暖房の効いた屋内で暑いと感じる状況になると、その暑さを外部へ逃すほどの透湿性はない。あくまでも悪天候の屋外アクティビティを想定しているため当然だ。

一方、防風性の高さはホンモノで、本当に防風性が高いからこそ屋内では風を取り入れられず、暑いと感じてしまう。

それから、撥水加工もされているため、多少の雨なら生地に染み込まずに防げてしまう。ゴアテックスといえば「防水性」なので、ゴアテックスの防水性を撥水性に買えた素材がインフィニアムだといえる。

マフラーなしで首周りが温められる

マフラーをすると体が温まるのは、首の皮膚表面近くに動脈が通っているためだといわれる。パーマフロストダウンパーカは、しっかりと羽毛の入った高い襟が付いていて、この襟がマフラーの代わりになる。さらには、高い襟のおかげで風がジャケット内部へ侵入するのを防いでくれる。

ダウンジャケットの暖かさのキモは、ジャケットと下着の間にできる「空気の層」だ。この空気の層が冷えれば、ダウンジャケットの性能は最大限に発揮できない。

ダウンジャケットがつくる空気の層を冷えさせない機能が「防風性」である。街中を歩いたりしているかぎりは、よほどの強風でないかぎり、ダウンジャケット内部の空気の層が冷えることはない。

しかし、バイクに乗ったりと正面から風を受ける環境では、防風性が低かったり隙間があると、ダウンジャケットに風が侵入してすぐに空気の層は冷えてしまう。

東京の冬場の気温であれば、パーマフロストダウンパーカと下着と中間着が一着ずつで冬場のバイクを乗り切れる。少し寒いと感じれば、中間着を増やせば十分に暖かい。

一方、襟はマフラーのように取り外せないため、暑いと感じても体温を調節することが難しい。襟を開いても、シャツのように首に沿わせるかたちで襟が存在しているため、外部から風を取り入れることができない。