筋トレの頻度は筋肥大にどのように影響する?

筋トレで筋肥大するために重要なことはなにか?適当な重量の設定か?または種目か?ここでは、筋トレにおける「頻度」と「筋肥大」の関係をまとめる。

筋トレの「頻度」は筋肥大にもっとも影響する要素だ

筋肥大を目的に筋トレをするとき、以前よりも重い「重量」をあつかうことは大切だ。同じ重量をあつかっていては、成長に限界がくる。

また、同じ重量であっても、「レップ数」を増やすことができれば、以前より負荷が増えたともいえる。重量を重くするだけが、負荷を増やす方法ではない。

しかし、レップ数も増やしつづけることはできない。とくに、高重量をあつかうデッドリフトやスクワットにおいて、レップ数を追求することが現実的でないことは理解できるはずだ。

結論をいうと、筋トレで「筋肥大」という成果をだすためには、トレーニングの「頻度」がもっとも重要な要素である。その理由は下記のとおりだ。

  • 筋肥大はボリュームで考える
  • ボリュームは頻度で考える
  • 頻度は部位の分割で考える

筋肥大はボリュームで考える

筋トレで筋肥大するには、週あたりのトレーニング「ボリューム」が大切である。ボリュームとは、「重量」「レップ数」「セット数」「頻度」の積で計算される数値だ。

最近の研究では、(適当な重量とレップ数を設定した)週あたりのトレーニングボリュームが同じであれば、トレーニングの頻度が週1回であろうが7回であろうが、筋肥大への影響は少ないといわれている。これを「ボリューム理論」という。

筋トレ初級者は、1週間に何回トレーニングをしたか?というように、週あたりのトレーニング頻度を重視する傾向がある。しかしながら、最近の研究データをもとにすれば、優先して考えるべきことは「ボリューム」である。

だが、実はこの初級者の直感はまちがっていない。「ボリューム」の大切さを念頭においたうえで思考を進めていくと、最終的にもっとも重要なことが「頻度」であることが分かるからだ。

ボリュームは頻度で考える

ボリューム理論では、トレーニングを「重量」「レップ数」「セット数」「頻度」に分解するが、「重量」は1RMの67〜87%が適当である。また、「レップ数」は適当な重量に応じて5〜12回とする。そして、「セット数」は8〜20セットのなかで、オーバーワークにならない範囲におさめる。これらを最大化するものが「頻度」である。

「重量」は1RMの67〜87%で考える

「重量」と「レップ数」は相互に関係している。筋肥大目的のトレーニングでは、重量を1RM(=Repetition Maximum、最大反復回数)の67〜87%にすることが効果的である。

1RMの67〜87%とは、5〜12RM(つまり、5〜12回が限界の重量)だ。したがって、重量、レップ数、どちらからのアプローチでもいいが、5〜12回が限界の重量を、限界まであつかうことがよいと分かっている。

たとえば、スクワットの1RMが100kgのとき、67〜87kgを限界まであつかうべきだ。ボリュームを増やすために、95kg10回や、65kg30回をおこなうことは現実的ではない。

「レップ数」は5〜12回で考える

「重量」を筋肥大に効果的な1RMの67〜87%にすると、「レップ数」は5〜12回になる。前述したとおり、レップ数と重量は相互に関係している。

いずれにせよ、1RMのレップ数を増やすことはできない(できるなら、1RMではない)。つまり、筋肥大の効果を最大化する「重量」と「レップ数」は、機械的に決まるということだ。

*1RMの算出方法はいくつかあるため、「重量」「レップ数」は参考までに

ただし、セット数を重ねていくと、必ずしも重量に応じたレップ数がこなせるわけではない。そのようなときは、限界まで力をだすサポートをしてくれる「クレアチン」が有効だ。

「セット数」は8〜20セットで考える

1週間のなかで、1部位あたりの「セット数」は、8〜20セットが最適である。20セットを超えると、オーバートレーニングになる可能性もある。

「重量」と「レップ数」は、筋トレの「経験」や鍛える「部位」によって、最適な数値が決まってくる。いっぽうで、セット数は、(最適な重量とレップ数であるという前提では)すべての人に共通した「限度」があるということだ。

ここで、部位は大きく「胸」や「背中」といった括りになっている。また、コンパウンド種目で刺激が入る部位は、セット数のカウントに含める。

セット数には「幅」があるため、セット数を増やすことによって「ボリューム」を増やすことができる。しかし、初級者は1部位あたり9セットを目指すことが、筋肥大と疲労 / 時間のバランスに優れる。

よくある、ぎりぎり10回上がる重量で10回3セット(つまり、10RM3セット)というのは、1部位につき3種目おこなうことで、初級者が目指すべき「重量」「レップ数」「セット数」になる。

「頻度」を増やせば質が上がる

「重量」「レップ数」「セット数」は機械的に決めることができるが、これらを最大化するものが「頻度」ということになる。つまり、トレーニングの頻度は、トレーニングの「質」を左右するものだ。

ボリューム理論にしたがうと、オーバーワークにならない範囲で「セット数」を増やしていくことになる。しかし、同じボリュームのトレーニングを週1回でおこなうのと7回でおこなうのでは、本当に同じ効果があるのか?

もし、週1回のトレーニングで週7回分のトレーニングが再現できるのであれば、効果は同じである。しかしながら、実際のところ、再現の実現難易度が非常に高いことが分かる。

当然のように、デッドリフトとスクワットを同日におこなうよりも、2日に分けておこなったほうが、あつかう「重量」や「レップ数」「セット数」も増えるはずだ。

つまり、トレーニングの「頻度」を増やすことで、1回のトレーニングにおけるボリューム(ここでは「重量」×「レップ数」×「セット数」)を増やすことができる。

これが、ボリューム理論において「頻度」が重要な理由である。

頻度は部位の分割で考える

効率的に体全体を鍛えるには、筋肉を「部位」ごとに分割する。そして、部位ごとの「セット数」を設定する。あとは、トレーニングの「頻度」を増やすことで、「質」を担保することができる。また、「スケジュール」をうまく組むことも、「質」を担保するためには必要なことだ。

「部位」に分解する

トレーニング頻度を増やすためには、まず、筋肉を「部位」ごとに分解する必要がある。部位の分解は、週あたりに確保できるトレーニング時間と関係している。

なぜなら、部位ごとのセット数には上限があり、トレーニング時間は「部位」×「セット数」で計算するからだ。つまり、セット数を上限の20セットで固定すると、時間を増やすのは部位だけである。

たとえば、部位を「胸」「背中」「脚」に3分割して、セット数を9セットにすると、トレーニングの総セット数は27セットになる。ここで、「肩」も個別に鍛えようとすると、トレーニングの総セット数は36セットに増える。

各種目1セットあたりにかかる時間(インターバル含む)を3分とすれば、このケースでは週あたり約30分、トレーニングの時間が増えることになる。

一般的には、「胸」「背中」「脚」「肩」「腕」の5分割が多い。しかしながら、初級者や時間がとれない人は、「胸」「背中」「脚」の3分割であっても、コンパウンド種目を中心にメニューを工夫することによって、体全体を鍛えることができる。

「セット数」を設定する

つぎに、「セット数」を設定する。これまでボリューム理論でメニューを組んでいない場合、まずは、週あたり9セットを目標にするのがよい。

前述したとおり、セット数を増やしすぎると、トレーニング時間が増えるだけでなく、オーバートレーニングにもつながるからだ。

慣れてくれば、セット数を徐々に増やしボリュームをかせぐ。たとえば、「部位」は5分割、「セット数」は12セット、 1セット平均3分のとき、週あたりのトレーニング時間は3〜3.5時間といったところだ。

「頻度」を増やす

週あたり3時間以上のトレーニングをおこなうときは、トレーニングの「頻度」がより重要になってくる。

1回のトレーニングに有効な時間は、60分ほどしかない。疲労や集中といった点でも、納得のできる時間だ。つまり、さきほどのセット数を増やした例では、週あたり4〜5回の頻度でおこなうことが理想的である。

「胸の日」や「背中の日」といったように、部位ごとにトレーニング日を分割している人も多いが、この分割方法は中級者、上級者向けである。ひとつの部位に適当な刺激をあたえるために種目数を増やし、結果として部位ごとの分割になっているだけだ。

初級者であれば、ひとつの部位を週内で分散させたほうが、1回のトレーニングにおける「質」が向上することはいうまでもない。つまり、「頻度」を増やせば分散効果も高まるため、トレーニングの「質」が向上し、結果的に「ボリューム」が増えるというわけだ。

「スケジュール」を組む

あとは、「スケジュール」をいかにうまく組むか、ということが重要だ。

ひとつの部位に対して、1, 2種目では適当な刺激があたえられないような上級者を除いて、基本的には部位の回復できるように、週あたりのトレーニング「頻度」を増やしてうまく分散する。

たとえば、5分割各12セットを週4回のトレーニングに分散することができるなら、デッドリフト、ベントオーバーロー、懸垂を同日におこなうよりも、月曜日にデッドリフトとベントオーバーローをおこない、金曜日に懸垂をおこなったほうが、背中のトレーニング「ボリューム」は増える可能性が高い。

「頻度」を増やすためには?

それでは、具体的なトレーニング「頻度」の増やし方を考えたい。

時間をつくる

ひとつは、単純に時間をつくることだ。これができれば話がはやい。たとえば、時間はあるが、ついつい筋トレ以外のことに時間をつかってしまう人だ。

もし、筋トレにさける時間に余力があれば、ぜひ「頻度」の重要さを理解したうえで、トレーニング日を増やしてみてほしい。

これができるということは恵まれている。ほとんどの場合、筋トレをしたくてもする時間がない、ということが多いからだ。

環境をつくる

忙しくて多忙な人は、自宅にトレーニング環境をつくることをおすすめしたい。完全な状態でなくても、自宅にダンベルさえあれば筋トレはできる。

たとえば、「肩」や「腕」のトレーニングは、ダンベルでも再現できる種目が多い。週3日はジムでコンパウンド種目を中心にトレーニングして、2日は自宅でダンベルトレーニングでもいいだろう。

パワーラックはむずかしくとも、ダンベルのほかにベンチも準備できれば、ジムへ行かずに多くの種目が再現できる。

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