ユニクロのイージーケアシャツのおすすめは?

ユニクロには「イージーケア」というシリーズがある。このなかでも、イージーケアシャツは用途を選ぶことによって、そのメリットを最大化することができる。今回はユニクロのイージーケアシャツについてまとめる。

夏場のビジネスカジュアルシャツとしての用途が最適である

ビジネスの装いには変化がおきている。たとえば、クールビズの浸透により、夏場は服装のカジュアル化が進んでいる。また、服装のカジュアル化とは別のベクトルでの変化もおきている。

ひとつは、むかしからの着こなし、ルールといったものを意識しなくなってきたことだ。その際たる例は、シャツの非コットン化、いわゆる、「形状記憶」「形状安定」シャツの登場である。

シャツといえば、いままではコットンでつくられることが一般的であった。そのため、洗濯後にはアイロンがけの手間が発生することはふつうであった。

しかし、形状記憶/安定シャツの登場で、ビジネスシャツの扱い方も大きく変わった。ここで、ユニクロのイージーケアシャツの用途を考えると、夏場のビジネスカジュアルとして使うことが最適だといえる。その理由は下記のとおりだ。

  • 半袖だとデメリットがなくなる
  • ユニクロらしさこそメリットだ
  • あらゆる面でコスパが高すぎる

半袖だとデメリットがなくなる

イージーケアシャツであっても、「袖」にはしわが残りやすい。いっぽうで、社会的な変化としては、夏場は半袖シャツを着ることが一般的になった。したがって、夏場にかぎっては、半袖のイージーケアシャツを着ることができ、弱点である「袖」のしわ残りが気にならないため、実質ノンアイロンシャツとして扱うことができる。

イージーケアでもしわは残る

はじめに、「イージーケアシャツ」と「ノンアイロンシャツ」は異なる。つまり、イージーケアシャツにかかる手間は、簡単だが「必要」ではあるということだ。とくに、シャツの場合は「袖」にしわが残りやすい。

シャツの袖は洗濯中にねじれやすい。また、身頃と違って、乾燥中にシャツの自重でしわを伸ばすことができない。したがって、イージーケアシャツであっても、袖にはアイロンがけをしてやらなくてはならないことが多い。

シャツの形状安定性を評価する指標として、JISの「W&W性(ウォッシュ&ウェア性)」というものがある。W&W性では、洗濯したシャツの各部位に残るしわを、1〜5までの5段階で評価する。この数値が高いほど、しわ残りが少なく、形状安定性に優れていることになる。

ユニクロのイージーケアシャツのW&W性は公開されていない。しかし、ユニクロにはスーパーノンアイロンシャツという製品があり、スーパーノンアイロンシャツのW&W性は「4」である。

形状安定性はスーパーノンアイロン>イージーケアであることを考えると、イージーケアシャツにはアイロンがけが必要なことが分かる。

クールビズが半袖化を進めた

つぎに、社会的なビジネスウェアに対する認識の変化だ。現在、日本では「クールビズ」が浸透してきたこともあって、夏場にはビジネスで半袖シャツを着ることがゆるされる傾向にある。

クールビズは、環境対策などを目的とした、夏場に服装を最適化するための取り組みだ。また、日本の夏は、そもそもが高温多湿で不快度の高い気候である。そのため、クールビズは加速度的に広まっていった。

夏場は実質ノンアイロンになる

イージーケアシャツにはアイロンがけが必要だ。しかしながら、夏場にかぎっては、イージーケアシャツは「実質」ノンアイロンシャツになる。

なぜなら、夏場はクールビズの浸透により半袖シャツを着ることができる。そして、半袖シャツは「袖」が短いため、イージーケアシャツの弱点であった「袖」のしわ残りが、ほとんど発生しない。

実際に、イージーケアシャツには「吸水性」や「速乾性」という特長があるため、洗濯をしても身頃のしわはほとんど気にならない。

f:id:findep:20200627121504j:plain

ユニクロらしさこそメリットだ

ユニクロは日本発のブランドであり、ユニクロのシャツは日本人向けのサイズ感だ。また、デザインが無難で、定型化したビジネスシャツでは目立つ欠点が少ない。さらに、店舗数が競合企業よりも圧倒的に多いため、サイズ選びで失敗することもない。

サイズ感が日本人向けである

ユニクロのイージーケアシャツには、「レギュラー」「スリム」の2種類がある。これらは着る人の体型に合わせればよい話で、いずれも日本人向けのサイズ感となっている。

ユニクロのサイズ感のよさは、「H&M」など、海外SPAとくらべると分かりやすい。日本発のブランドであるユニクロが、欧米人向けにつくられたH&Mよりも、サイズ感の適合性で劣後することはない。

実際、H&Mのシャツでは、Sサイズでは小さすぎるがMサイズでは大きすぎるといったことがよくある。H&Mのシャツにも、「レギュラー」や「スリム」といったスタイルの違いはあるが、いずれの組み合わせでも、落としどころをみつけにくい。

下の写真は、H&MのスリムS(左)とユニクロのスリムM(右)だ。H&Mは、サイズをユニクロよりもワンサイズ落としているが、「スリム」のSサイズはさすがにタイトすぎる。

f:id:findep:20200627122851j:plain

下の写真は、H&MのレギュラーS(左)とユニクロのスリムM(右)だ。身頃のフィッティングはどちらもわるくない。H&Mはコットン100%である。そのため、ユニクロのイージーケアよりも肌ざわりがよいが、しわが残っている。

f:id:findep:20200627123312j:plain

デザインに欠点が少ない

ユニクロの衣服全般にいえることだが、デザイン上の欠点が少ない。とくに、ビジネスで着るシャツのように定型化したデザインの場合、欠点というものがいっそうに目立ってしまう。

逆に欠点があるシャツとはどういったものかというと、たとえば、オンラインで安売りされているシャツだ。ボタン周辺のデザインや素材感などに中途半端なものが多いと感じる。

ユニクロはデザインが無難だ。特別に洗練されているわけではないものの、マスを取りにいく姿勢がデザインにもあらわれているといえる。

アクセシビリティが高い

また、こちらはユニクロの企業戦略にいえることだが、アクセシビリティが高いことが重要である。とくに、海外SAPとくらべると、その差は歴然としている。

ユニクロは全国800店以上の店舗を展開していて、かつオンラインショップでの購入も可能だ。つまり、気軽に店舗で製品を確認してから、購入はオンラインで済ますこともできる。

いっぽうで、H&Mの店舗数は全国100店舗以下である。したがって、ユニクロはH&Mの8倍以上アクセシビリティが高いといえる。

H&Mのサイズ選びがむずかしい理由は、欧米人向けにデザインされているだけでなく、店舗数が少ないために試着をする機会も少ないからである。

あらゆる面でコスパが高すぎる

ユニクロのイージーケアシャツでもっとも重要なことは、コストパフォーマンスの高さである。「モノ」としてのデザインはリクワイアメントを満たしていて、機能面から考えると圧倒的な強さがある。

まず、税込み1,980円という価格だ。海外SPAとくらべても、同じ価格でビジネスシャツを展開できる企業はほとんどない。イニシャルコストだけでほかを圧倒している。

つぎに、「イージーケア」の機能だ。前述したとおり、半袖のイージーケアシャツは実質ノンアイロンシャツになる。つまり、ランニングコストがほとんどかからないということだ。

アイロンがけが必要になると、自宅でアイロンがけをするのか、クリーニング に出すのか、いずれにしても、時間や金といったランニングコストがかかってしまう。

しかし、半袖のイージーケアシャツは、通常の洗濯コストだけでランニングをまわしていくことができる。この通常の洗濯にかかる時間や金といったコストを削減する方法は、全ての服装において現在のところみつかっていない。

ユニクロのイージーケアシャツの欠点は?

それでは、ユニクロのイージーケアシャツに欠点はないのか?というと、そんなこともない。

耐久力は低いかもしれない

耐久力はあまりないといった印象だ。

下の写真は、40回ほど洗濯したものである。どの時点で発生したか分からないが、「ほつれ」が気になる箇所がいくつかある。

f:id:findep:20200627124350j:plain

しかしながら、コストを耐用年数で割ったパフォーマンスを考えると、やはりコストパフォーマンスが高いといえるかもしれない。なぜなら、たとえば、鎌倉シャツのイージーケア「TRAVELER」は、ユニクロのイージーケアシャツの4倍近い価格で販売されている。

実際に、「TRAVELER」の耐用年数が、ユニクロのイージーケアシャツの4倍あるとは考えにくい。とくに、消耗のはげしい「襟」や「カフス」の摩耗が気になってくるはずだ。

もちろん、鎌倉シャツには、コストや耐用年数だけでは判断できない「フィッティング」や「デザイン」といったこだわりがあるため、単純にくらべることはできない。

肌ざわりがコットンに劣る

もうひとつ、イージーケアシャツの弱点としては、コットンには劣る「肌ざわり」がある。

けっして不快ということはないが、コットン100%のシャツに慣れていると、ゴワゴワした肌ざわりがあることは事実だ。

鎌倉シャツ「TRAVELER」は、イージーケアでありながらも「肌ざわり」にはこだわった製品だ。「形状安定性」と「よい肌ざわり」の両立を目指したのが、鎌倉シャツのこだわりである。

しかしながら、ユニクロほどの企業が、このような視点を見逃しているわけがない。いずれは、同じような「こだわり」、または、別角度からの「価値」を付加した製品を開発してくるはずだ。