レッドウィングの9016はスーツやジャケパンの「ハズし」に使える
レッドウィングは世界的なワークブーツブランドだ。9016はドレスシューズに近いワークブーツである。完全に外れないから「ハズし」になる。したがって、レッドウィングの9016はスーツやジャケパンの「ハズし」に使える。
レッドウィングは世界的なワークブーツブランドだ
レッドウィングには100年を超える歴史がある。丈夫なワークブーツを安価に供給している。世界的にブランドとしての知名度が高い。したがって、レッドウィングは世界的なワークブーツブランドだ。
レッドウィングには100年を超える歴史がある
レッドウィングは1905年にCharles Beckmanと14人の投資家によって設立された。レッドウィングが設立された目的は、鉱山、農業、伐採といった産業で働く人々に耐久性と快適性が高い靴を供給することだった。
実際、1909年にはアッパーとソールをウェルトで縫い付ける「ウェルト製法」によって、耐久性の高い靴を作り始めた。現在のレッドウィングの靴のほとんどは、このウェルト製法で作られている。
それから、レッドウィングはワークブーツで有名なことから男性向けのイメージが強いが、1927年には女性向けのブーツを作りトップセラーにもなった。
現在でもレッドウィングは女性向けのワークブーツを作っていて、ラインナップは男性向けのワークブーツと変わらない。
丈夫なワークブーツを安価に供給している
ワークブーツは労働者のためのブーツであるから、耐久性や快適性が高いだけでなく安価でなくてはならない。レッドウィングに100年を超える歴史があるのは、その難しい問題を解決してきた結果である。
レッドウィングのワークブーツはアメリカでは300ドル前後、日本では(国内正規品が)50,000円前後で買える。ワークブーツはドレスシューズよりも表面積が大きいから、同じウェルト製法のドレスシューズと比べてもリーズナブルであることが分かる。
日本で買えるレッドウィングの国内正規品(レッドウィングジャパンのウェブサイトにあるモデル)の多くは日本向けの別注品である。だから、並行輸入品は国内正規品よりも安く買えるが、並行輸入品と国内正規品では仕様やサイズ感が異なることもある。
世界的にブランドとしての知名度が高い
レッドウィングはアメリカで設立されて、その「つくり」と「価格」がアメリカの市場に合っていたから成功した。しかし、それは世界でも通用するパフォーマンスだったことで、世界的な知名度も上がっていった。
イギリスの市場調査会社YouGovによると、レッドウィングはアパレル&フットウェアブランドでは人気が66位、知名度が75位である。1 この調査のアパレル&フットウェアブランドには、アディダスやアンダーアーマーといったスポーツウェアブランドや、SPAやラグジュアリーブランドも含まれている。
この順位が高いと言える理由は、レッドウィング以外のワークブーツブランドが100位以内にはいないこと、ドレスシューズで有名なチャーチの人気が78位、知名度が95位であることからだ。
9016はドレスシューズに近いワークブーツである
レッドウィングのクラシックモデルはドレスシューズに近かった。9016はレッドウィングのクラシックモデルを再現している。アッパーには上質な専用レザーを使っている。したがって、9016はドレスシューズに近いワークブーツである。
レッドウィングのクラシックモデルはドレスシューズに近かった
レッドウィングが設立された20世紀の初頭は、ラウンジスーツが誕生して一般大衆にまでスーツが普及した時代だ。一般大衆には労働者も含まれるから、ドレスシューズも広く普及していた。その流れからワークブーツにもドレスシューズの要素が組み込まれた。
実際、1920年ごろのレッドウィングのアイコンはドレスシューズに近いラウンドトゥのワークブーツだった。現在のアイコンであるモックトゥのワークブーツが作られたのは1920年代の中頃と推定され、スポーツブーツの位置付けで売られていた。
ところで、現在のレッドウィングのアイコンであるアイリッシュセッターの原型(No.854)は1950年に作られたモデルだ。
9016はレッドウィングのクラシックモデルを再現している
レッドウィングの9016(現No.9416)は設立者のCharles Beckmanにちなんで「ベックマンブーツ」と呼ばれるモデルだ。ベックマンブーツは1920年ごろのクラシックモデルを新しい素材で再現している。
9016は丸みのあるラウンドトゥの8番ラストを使っている。この8番ラストは歴史のあるレッドウィングのラストの中でも、最もオーソドックスな形をしている。
オーソドックスな形とは、「ワークブーツとして」ではなく「革靴として」だ。クラシカルな革靴は丸みのあるラウンドトゥであることが特徴だからだ。
モックトゥのワークブーツはある程度雑に扱っても汚れが目立ちにくい。それに対して、ラウンドトゥのワークブーツはデザインがドレシューズに近いこともあって磨き上げた方が味が出る。
レッドウィングのウェブサイトでも、ベックマンブーツがフォーマルでありながらも実用性があることや、スマートからカジュアルまで守備範囲が広いことに言及している。それから、クリームで磨くことで艶が出る、味わいが深まるとも書かれている。
ところで、近年ベックマンブーツの品番が9016→9416のように変更された理由は、ソールの製造拠点を変更したためである。これまではイタリアやメキシコの社外工場で製造していたソールを、品番を変えてからはアメリカの自社工場で製造しているようだ。
アッパーには上質な専用レザーを使っている
ベックマンブーツのアッパー素材には、ベックマンブーツのために開発された専用レザーの「フェザーストーン」が使われている。靴に合わせて素材を開発していることからも、ベックマンブーツが特別なワークブーツであることが分かる。
フェザーストーンは厳選された高品質なステアハイドだけが使われていて、光沢を持つべく仕上げられたレザーともされている。つまり、耐久性を重視した丈夫なレザーではなく、ドレスシューズのように磨き上げて光沢が持てる素材である。
レッドウィングへレザーを供給しているS.B. Foot Tanning Companyは1872年に操業を始め、1986年にレッドウィングへ事業を売却した。そして、現在はレッドウィングの完全子会社となっている。
それから、ベックマンブーツに使われるフェザーストーンには四色のカラーがあり、9016では「シガー・フェザーストーン」が使われている。シガー・フェザーストーンと同じ茶系統では「チェスナッツ・フェザーストーン」もある。
シガーはチェスナッツよりも一段暗い茶色であるが、実際に見てみるとシガーの発色はよく、一般的なブラウンよりは赤みがある茶色だ。つまり、チェスナッツはかなり明るい茶色であり、一般的なチェスナットカラーよりも明るいことが分かる。
完全に外れないから「ハズし」になる
フォーマルやビジネスはカジュアルに追加できない。カジュアルはフォーマルやビジネスに追加できる。ドレスよりのワークブーツはフォーマルやビジネスに追加できる。したがって、完全に外れないから「ハズし」になる。
フォーマルやビジネスはカジュアルに追加できない
フォーマルやビジネスで使うものにカジュアルな要素はないから、フォーマルやビジネスで使うものをカジュアルに使うことはできない。
実際、フォーマルで使う「モーニングコート」や「テイルコート」をカジュアルに着こなすことはできない。
服装の定義の中でフォーマルは厳格に決まっているため、服装はフォーマルとフォーマル以外に分けられる(カジュアル=フォーマル以外)。つまり、フォーマルは絶対的なもので、カジュアルは相対的なものだ。
カジュアルはフォーマルやビジネスに追加できる
カジュアルで使うものにはフォーマルやビジネスな要素があるものもあるから、カジュアルで使うものをフォーマルやビジネスに使うことはできる(場合がある)。ただし、その場合はフォーマルやビジネスからカジュアルになる。
カジュアル=フォーマル以外だが、カジュアルの原型がフォーマルにあることは珍しくない。例えば、パッチポケットが付いたジャケットはフォーマルで使うジャケットを原形にカジュアル化したものだ。
ドレスよりのワークブーツはフォーマルやビジネスに追加できる
ドレスシューズに近いワークブーツにはフォーマルやビジネスな要素があるものもあるから、ドレスシューズに近いワークブーツをフォーマルやビジネスに使うことはできる。ただし、こちらもカジュアルになる。
ドレスシューズに近いワークブーツも、フォーマルで使うドレスシューズを原形にカジュアル化したものの典型例だ。
モックトゥのワークブーツはドレスシューズを原形にしたラウンドトゥのワークブーツから派生したもので、スポーツブーツの印象が強いためフォーマルやビジネスに使うことは難しい。
しかし、ラウンドトゥのワークブーツはモックトゥのワークブーツよりもドレスシューズに近いため、フォーマルやビジネスのハズしに使うことはできる。