筋トレは「分割法」×「週4回」で部位を混合して組むと効率がいい

中級者は分割法にせざるを得ない。部位混合は分割法のバリエーションだ。週4回の部位混合は合理的である。したがって、筋トレは「分割法」×「週4回」で部位を混合して組むと効率がいい

中級者は分割法にせざるを得ない

プログラムの組み方は「全身法」か「分割法」だけだ。筋トレを始めたばかりの人には全身法が合っている。筋トレに慣れてきた人は全身法がキツくなる。したがって、中級者は分割法にせざるを得ない

プログラムの組み方は「全身法」か「分割法」だけだ

トレーニングのプログラムを週ごとのルーティンとして組む人は多いだろう。このとき、プログラムの組み方を「鍛える筋肉」という枠組みで考えると、1回のトレーニングで全身を鍛える「全身法」か、1回のトレーニングで全身を鍛えない「分割法」に分けることができる。

例えば、筋肉の部位を「脚」「肩」「背中」「胸」「腕」「腹」の6部位に分けるなら、全身法はこれら6部位全てを1回のトレーニングで鍛える方法だ。それに対して、ある日は脚だけを鍛えて、次の日は肩だけを鍛えるといったように、日ごと・部位ごとに分ける方法が分割法である。

当然のことだが、週4回トレーニングをするとき、全身法の方が部位ごとのトレーニングボリュームは増える。

筋トレを始めたばかりの人には全身法が合っている

筋トレを始めてから日が浅い人は、レジスタンストレーニングにおいて全ての筋肉が未発達である。筋肉を動かす機能(神経系)が発達しておらず、具体的なトレーニング種目のやり方にも精通していない。だから、筋肉を正しく動かして負荷がかけられるようになるためにも全身法が適している。

実際、筋トレの初級者が全身法でプログラムを組むことによって、早い段階から筋肉の動かし方が分かり、筋肉にしっかりと負荷がかけられるようになる。大切なのがケガをしないフォームを習得するのも早いことだ。同時に、神経系が発達する(レジスタンストレーニングに慣れる)ことで、扱える重量も急速に伸びていく。

これまでに筋トレ経験がない人は、自分でも驚くほどに重い重量を扱うことができない。筋トレを始めたばかりでありながらも重い重量が扱える場合、正しいフォームができていない可能性が高く、ケガのリスクも高まるためやり方を見直した方がいい。

筋トレに慣れてきた人は全身法がキツくなる

全身法で筋トレを始めた初級者でも、筋トレを数ヶ月も続けていると各種目で扱うことができる重量が上がっていく。それだけ一種目で蓄積される疲労は大きくなるため、効率だけを重視した全身法を続けることは難しくなる。

筋トレを始めたばかりのときは扱う重量が軽いとはいえ、これまで使っていなかった筋肉を使うことになるのだから筋肉痛にもなる。しかし、実際に扱う重量は軽く、筋肉も小さいために筋肉痛からの回復は早い。

それが筋トレに慣れてきて扱う重量が重くなれば、筋肉にかかる負荷や筋肉自体も大きくなる。すると、筋肉痛からの回復にも時間がかかるようになり、プログラムの組み方を再考する必要が出てくる。

こうなると、これまでの全身法というやり方ではなく、別のやり方(すなわち、分割法)に移行せざるを得ないのだ。

部位混合は分割法のバリエーションだ

分割法には「部位限定」と「部位混合」がある。上級者は部位限定で徹底的に追い込む。中級者は部位混合でも全く問題ない。したがって、部位混合は分割法のバリエーションだ

分割法には「部位限定」と「部位混合」がある

筋トレのプログラムを分割法で組むときは、1回のトレーニングで鍛える部位を限定する(部位限定)か、鍛える部位を限定しない(部位混合)かに分けることができる。

鍛える部位を限定するとは、ある日はスクワット→レッグプレス→レッグエクステンション→レッグカールのように脚だけをひたすらに鍛えて、次の日にはベンチプレス→インクラインプレス→ダンベルフライ→ディップスのように胸だけを鍛えることだ。

それに対して、鍛える部位を限定しないとは、脚を鍛えるためにスクワットとレッグプレスをやり、同日にダンベルフライとディップスで胸も鍛えることである。

上級者は部位限定で徹底的に追い込む

分割法では部位を限定して鍛える方がメジャーではある。実際、筋トレの上級者は部位を限定したプログラムを好む。高重量を扱うメイン種目で鍛えたい筋肉に最大限の負荷をかけてから、低〜中重量のサブ種目で鍛えたい筋肉をパンプアップさせることが、ボディビルダーの鍛え方ではスタンダードだからだ。

例えば、メイン種目では主にBIG3を中心として非常に重い重量を低レップでこなす。その後、サブ種目としてマシンやダンベル種目を中心にレップ数を取ったり、ベンチプレスに対するインクラインプレスのように別角度から同じ筋肉を鍛える。

筋トレの上級者がこの鍛え方を好む理由は、鍛えたい筋肉をパンプアップできることだけでなく、さまざまな重量やレップ数、種目を通して、負荷をしっかりとかけることができるからだろう。

中級者は部位混合でも全く問題ない

しかし、筋トレの中級者が上級者(ボディビルやフィジークといった競技のために筋肉を鍛えている人たち)を参考にして、部位を限定したプログラムを組むことは好ましくない。

筋トレの中級者であれば、筋トレを始めたときよりも扱える重量が上がり、正しいフォームでのトレーニングもできるようになっているはずだ。それでも、メイン種目でしっかりと追い込むことができているかは怪しいところがある。

まずはBIG3を中心としたメイン種目でしっかりと追い込む。メイン種目で追い込むことができないのにサブ種目をやっても、サブ種目で追い込むことはできない。

BIG3などのバーベル種目はレジスタンストレーニングにおいて最もベーシックな種目である。マシンやダンベルに浮気するよりも、基礎をしっかりとやりこみ重量を上げることが先決なのだ。

週4回の部位混合は合理的である

週4回のトレーニングはお墨付きだ。部位混合で部位ごとのボリュームが増える。トレーニングの質が上がる。したがって、週4回の部位混合は合理的である

週4回のトレーニングはお墨付きだ

トレーニーのバイブルともいわれる名著「スターティングストレングス」をご存じだろうか?こちらではトレーニングプログラムを週4回で組むことを推奨しており、週5回以上のトレーニングには意味がないとさえ言っている。

実際、スターティングストレングスでは主要なバーベルトレーニングを"BIG3"ではなく"BIG4"としている。BIG4とは「スクワット」「プレス」「デッドリフト」「ベンチプレス」の4種目だ。

バーベルを使った基礎的なトレーニングとして「パワークリーン」も紹介しているが、こちらは瞬発力を鍛えるものであり、デッドリフトに代わる種目の一つだ。

そのことを考えると、やはりトレーニングプログラムは週4回、「スクワット」「プレス」「デッドリフト」「ベンチプレス」を主軸として組むことが理想的だと分かる。

部位混合で部位ごとのボリュームが増える

1回のトレーニングで二つ以上の部位を鍛えるメリットは、1種目あたりのトレーニングボリュームを増やせることにある。同じ筋肉だけを鍛え続ければ疲労がたまり、挙上できる重量や回数が落ちるからだ。

例えば、スクワットの後にレッグプレスを行えば、レッグプレスはスクワットの疲れを引きずることになる。当然、レッグプレスで挙上できる重量や回数は減る。しかし、ベンチプレスの後にレッグプレスを行えば、脚の筋肉は疲れを引きずらずクリーンな状態で鍛えることができる。

部位混合でトレーニングプログラムをうまく組み合わせれば、1日あたりの部位ごとのトレーニングボリュームは部位限定に劣るものの、1週間あたりでは部位ごとのトレーニングボリュームは部位限定よりも増える。

筋肥大に理想的なトレーニングボリュームは、一つの部位あたり10〜15セットともいわれている。つまり、部位限定では1種目3セット×5種目といったように、1回のトレーニングで一つの部位に対して複数種目を行わなければならない。

トレーニングの質が上がる

それから、トレーニングボリュームを増やせることはトレーニングの質を上げることも意味する。つまり、正しいフォームで適当な重量、回数、そしてインターバルを取りトレーニングを進められるため、トレーニング時間の点では生産性が高いと言える。

部位限定でベンチプレスの後にダンベルフライを行うとき、インターバルを長く取れば部位混合と同じトレーニングボリュームを確保できる可能性はある。しかし、それだけトレーニング時間は長くなってしまう。

トレーニング時間が長くなれば集中力は落ちる。結果的に種目を重ねれば重ねるほどにトレーニングの質は落ちていくことだろう。

トレーニングの質が落ちれば筋肥大の効率も落ちる。そうなれば、トレーニングに対するモチベーションも下がるなど負の連鎖が待っている。

単純に部位限定はつらいというのもある。特に、脚の日ともなれば、ひたすらに脚だけを鍛えるのは体力面だけでなく精神面でのつらさもあるのだ。

このように、週4回の頻度で部位混合の分割法プログラムは理にかなっている。アメリカでは部位限定の分割法は"bro split"といわれ、時代遅れのトレーニング方法とされている。