ユニクロのセットアップで面接に行けるか?
ユニクロは、カジュアルからビジネスまで、幅広い商品を展開している。しかし、ユニクロのセットアップは、面接に行けるほどビジネスに適しているのか?今回はファッションやドレスコードという観点から、ユニクロのセットアップについてまとめる。
セットアップとは?
セットアップはファッション用語である。英語で"setup"といえば、「組み立て」という意味でもある。
定義は上下揃いである
ファッションにおけるセットアップとは、上下が「揃っている」ことだ。「揃っている」とは、スーツのように、かならずしも共地でつくられている必要はない。
セットアップは、上下が同系統の色であったり、合わせやすい柄である服装のことだ。「揃っている」とはいっても、スーツほどの厳格さはない。スーツとは、共地の3つ揃えが基本である。現代では2ピースも主流ではあるが、共地ではないジャケットとパンツの組み合わせや、オッドベストを含めた3ピースを、スーツとは言わない。
スーツとは販売方法が異なる
もうひとつ、スーツとセットアップは、基本的な販売方法が異なる。
スーツは上下をセットで購入することが前提だ。そのため、デザインも上下セットで考えられている。スーツのジャケットまたはパンツを単体で購入することができても、これはおすすめできない。なぜなら、スーツは単体では機能しないデザインになっているからだ。
いっぽうで、セットアップは上下を別売することが基本である。そのため、ジャケットやパンツ単体でも機能するようにデザインされている。
セットアップは、ユニクロのようなSPAというビジネスモデルにこそメリットがある。なぜなら、単体で購入したい層とセットで購入したい層、ふたつのターゲットをカバーしているからだ。これにより、販売機会ロスを削減することや、在庫リスクの分散ができる。
ユニクロセットアップの種類は?
現在、メンズのラインナップでセットアップ可能な商品を確認したところ、2種類が該当した。
感動ジャケットはカジュアル寄りだ
まずは、感動ジャケット&感動パンツのセットアップだ。セットアップしたモデルを確認すると、全体的にカジュアルな雰囲気がある。
このカジュアル感の最たる要因は、生地の素材感だ。天然繊維が表地に使われていないため、スーツのような重厚感がない。また、ディテールの観点では、下記の点などがスーツとは異なる。
- 短い着丈
- 細いラペル
- 肩パットなし
- 浅い股上
しかしながら、全体的にタイトで現代的なデザインのため、古くささは感じない。クラシック回帰前のタイトブームは、しっかりと反映している。クラシック回帰とクラシックスーツについては、下記の記事で書いた。
さらに細かいディテールだが、下記はカジュアル感というよりも、簡素なつくりに見えてしまう。
- ノーステッチのラペル
- 開き見せですらない袖ボタン
テーラードセットはビジネス寄りだ
つぎに、テーラードジャケット&ストレートスリムフィットパンツのセットアップだ。感動ジャケット&感動パンツのセットアップと比較して、大きな差はない。しかし、少しだけフォーマル度が高いように見える。
フォーマル度を上げて見える理由は、下記の点だ。
- 胸ダーツあり
- 袖ボタン4つ開き見せ
ジャケットにダートが入ることで、シルエットに立体感が生まれる。パンツの違いはほとんど分からなかった。しかし、ピスポケット(おしりのポケット)は、感動パンツが両玉縁なのに対して、ストレッチスリムフィットパンツは片玉縁である。そのため、こちらは若干カジュアル寄りのデザインになっている。
シーン別に検証すると?
着用する場面ごとに、ユニクロのセットアップの適合性を検証してみる。
フォーマルはおすすめできない
残念ながら、フォーマルシーンではおすすめできない。
先にあげた2アイテムともに、生地に素材感がないことが致命的だ。どう見てもペラペラとしていて、フォーマルには向かない。また、タイトで短めなデザインのため、カジュアル感が強い。
しかし、日本のフォーマルシーンにおいて、基本的な着こなしのマナーを守れていない人は多い。そのため、マナーを守らない人になにを言われる筋合いもないと、逃げ切る心算であれば止めはしない。
ビジネスはスコープに入る
ビジネスのなかでもカジュアル寄り、ビジカジあたりを狙うならありだ。重要なプレゼンや面接などでは、そのほかの点でカバーすることによって、違和感を感じさせることは少なくできる。
服装規定が厳しい業界を除けば、ビジネスでカジュアル感を出すことは、かならずしもマイナスではない。スーツにしてもセットアップにしても、もっとも大切なことは全体のバランスだ。ユニクロのセットアップはタイトで短めのスタイルなため、シャツや靴、鞄などがいっそう目立つことだろう。これらをしっかりと着こなせていれば、シンプルな装いとしてまとめることはできる。
とくに、靴は手を抜くと、文字どおり「足下を見られる」。タイトパンツに履きつぶした靴では、「足下を見られる」ことは間違いない。靴に関連したアイテムとして、靴下も重要だ。服装のマナーという観点でも、ホーズを履くことをおすすめしたい。
カジュアルはむずかしい
全体的にカジュアル感があるとはいっても、デイリーユースでは変だ。
単純に、オフでセットアップを着ている人が少ないためだ。ユニクロがターゲットにしているのは、ビジネスカジュアルだと思われる。ジャケットまたはパンツ単体であれば、コーディネート次第ではありかもしれない。しかし、テーラードジャケットのディテールはビジネス寄りのため、注意する必要がある。
最後に
セットアップは、フォーマルとカジュアルの中間、つまり、ビジネスにはちょうどいいのかもしれない。むしろ、フォーマルかカジュアル、どちらかに振りきることはむずかしい。ユニクロのセットアップは、気軽に着れるビジネス服としてはありだ。
しかし、最近は安価にオーダースーツをつくることもできる。ユニクロといえど、セットアップで揃えれば、それなりの価格にはなる。オーダーメイドは、レディメイドですぐに手に入れることはできないが、耐久性やデザイン、なによりフィッティングという観点では、ユニクロよりもあきらかに優れているだろう。
服装は、人の品格をあらわす一要素だ。安かろう悪かろうではないが、TPOに応じたマナーを学ぶ必要がある。