Kindleは多読に最適なデバイスなのか?

以前から洋書の多読は続けている。そして、今年に入ってからは、すべての本を電子書籍で購入するようにした。Kindle多読へ移行してから早3ヶ月が経過したので、今回はKindle多読のメリットをまとめる。

なぜ多読なのか?

これまでも洋書の多読を続けてきた経験から、洋書の多読こそ、英語学習における最大のインプットであると考える。

読解力を強化する

洋書の多読は、英文の読解力を向上させる。ここで、読解力は「文章の内容を理解する能力」と「リーディングスピード」に分解できる。このうち、「リーディングスピード」は慣れの問題もある。そのため、「文章の内容を理解する能力」について説明しよう。

「文章の内容を理解する能力」は、相手の考えを理解する能力、すなわち、EQとの関係が深い。読書の習慣がない人でも、国語の試験で高い得点をとることができるのはこのためだ。つまり、EQが高いのである。英語におけるEQを伸ばすためには、英語(圏)のコンテクストに慣れなければならない。そのひとつの方法が、洋書を多く読むこと、すなわち、多読である。洋書を多読することで英語にふれる機会を増やして、英語(圏)のコンテクストに慣れるのである。

コンテクストというところは、少し補足をしておく。たとえば、日本語であっても、いきなり知らない話題をふられたときは、その話題にキャッチアップすることはむずかしい。これは、話題のコンテクストを把握していないからだ。いっぽう、あらかじめ話題に関連した知識を教えられていたら、どうなるだろうか?この場合、直前までの会話内容を聞いていなくても、会話へのキャッチアップが容易にできる可能性がある。このことを、「同じコンテクストレベルにある」という。

英会話にも有効だ

洋書を多読することで、語彙力や表現力を強化することができる。これらは、読むことだけでなく「話すこと」、すなわち、英会話にも有効である。

語彙力や表現力を強化するためには、インプットとアウトプットの両輪が必要だ。とくに、単語においては、ひとつの単語でひとつの意味(もしくはそれに相当する日本語)しか持たないものは、固有名詞くらいである。つまり、同じ単語であっても、その単語が表現できる意味は複数あるということだ。このような単語表現の拡大を学ぶには、単語帳を暗記するやり方では限界がある。そのため、多読をとおして様々な表現にふれること、そして、ある程度の時間をかけて徐々に定着させていくことは、効率的な方法でもある。

実際に、英会話における講師からのフィードバックにおいて、洋書の多読をすすめてくる講師は多い。ネイティブは、自分たちの経験から、読書が言語を学ぶことに有効であると知っているのだ。

語学を習慣化できる

英語学習にかぎらず、なにかを習得するコツは、学習の習慣化にある。そして、洋書の多読は、習慣化という意味ではもっとも取りくみやすい方法だ。

読書は、いつ、どこでも、スキマ時間を活用してできる、もっとも効率的なインプットである。語学では、アウトプットの機会をもつことが大切なことではあるが、スキマ時間では制約が多いことも事実だ。そのため、制約のあるスキマ時間に多読でインプットをすることで、英語学習の生産性を高めることができる。

なぜKindleなのか?

洋書を多読をする方法はふたつだ。ひとつは、ペーパーバックを買って読むことだ。そして、もうひとつが、電子書籍の読書である。昨年まではペーパーバックを購入していた人間が、今年から電子書籍へ移行した理由を書く。

アクセシビリティが高い

Kindleは、電子書籍サービスそのものと、電子書籍を読むための端末で構成されている。ここでは、前者の電子書籍サービスのメリットである、アクセシビリティの高さについて説明しよう。

Kindleは、アマゾンが提供する電子書籍サービスだ。つまり、米国発祥のサービスであり、米国で発行された本の取り扱い数が多いことに、うたがいの余地はない。また、電子書籍はデータのやりとりで完結するため、サプライチェーンの問題がおこらない。つまり、在庫切れや納期延長といった、洋書ならではの制約を受けにくい。

物理的な利便性がある

つぎに、Kindle端末自体の利便性である。端末はタブレットのようなコンパクトさで、厚みがない分、ペーパーバックよりも体積は小さいほどだ。

しかし、このコンパクトな端末に、複数の書籍を格納できるというメリットがある。漫画などの容量が大きいものを除けば、8GBでも700万冊以上を格納できる。漫画を読まないのであれば、最小容量のグレードであっても、容量不足を気にする必要はない。

また、端末のモデルをいくつか展開している。そんななか、わたしが使用しているのがKindle Oasisだ。Kindle端末自体は以前からもっていて、OasisのまえはPaper Whiteを3年ほど使っていた。Paper WhiteからOasisへ買いかえた理由は、下記のようなメリットがあるからだ。

  • 画面が大きい=読みやすい
  • 物理ボタンでページ送りがしやすい

ほかにも、Oasisは明るさを自動調整することなどができる。しかし、上記の機能だけでも、その価格差を埋めるだけの価値はある。これは、毎日使用していると感じることだが、物理ボタンがあることで、寝転がりながらも読みやすいといった、大きなアドバンテージがある。

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  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: エレクトロニクス

Kindleのディスプレイは、スマートフォンのような強化ガラスではない。そのため、簡単にきずがついてしまうことから、カバーを使用することをおすすめする。純正は高いが、サードパーティでも十分な保護機能はある。

また、長年使っていると、どうしてもバッテリーがへたってくる。Oasisのように端末自体が高価な場合は、延長保証も購入して、保証が切れるタイミングであたらしい端末へ交換するのがよい。

コンテンツが安い

ペーパーバックの多読と比べると、Kindle多読は端末代がプラスオンで発生する。しかし、書籍代はペーパーバックよりも安い場合が多く、ポイント還元やセールを活用することで、ランニングコストを削減することもできる。

アマゾンを見れば分かるが、大抵の電子書籍はペーパーバックよりも安い。端末代というイニシャルコストを回収するまでにはそれなりの時間がかかるが、差分は利便性とのトレードと考えれば、Kindleのコストメリットは大きい。

いっぽうで、ペーパーバックには売却ができるというメリットもある。ブックオフなどでは二束三文だが、メルカリなどの個人間売買では、それなりにコスト回収ができることは事実だ。しかし、出品から発送までの手間がかかることを考えると、Kindleの利便性というところが、いっそう際立ってくる。

最後に

すべての書籍を電子化したことで、読書=Kindleに集約ができた。これにより、日々の生活がよりシンプルになった。

シンプルであるということは、物理スペースの節約にもつながっている。ペーパーバックのように、スペースを占有することもコストである。

電子書籍はスマホでも読むことができる。しかし、電子書籍を読むために開発された端末は、スマホよりも「読む」ことに最適化されていることは、言うまでもない。