なぜ筋トレの伸び悩みが起こる?その解決策は?

筋肥大を目的とした筋トレにおいて、体に変化があらわれないこと、つまり、伸び悩みを経験することはある。今回は筋トレで伸び悩む原因と、その解決方法をまとめる。

根本原因はボディメイクに対する意識が低いことだ

ここで、筋トレにおける伸び悩みを、筋肥大を目的にトレーニングを続けているにもかかわらず、体に変化が起きていない状況とする。

まず、体の変化はごくわずかであるという前提を、忘れてはならない。体の変化は日ごとに記録をしたところで、数日や数週間で大きく変わることはない。

しかしながら、半年から1年という期間でみても体に変化がない場合は、つぎの3つの枠組みで考えることができる。

  • トレーニングの質
  • 摂取する栄養バランス
  • 生活習慣の問題

3つの枠組みで原因を分解していくと、根本的な原因は同じであることが分かる。その根本原因とは、ボディメイクに対する意識が低いということだ。その理由は下記のとおりである。

  • トレーニングの質は意識で変わる
  • 食事などの生活習慣も意識で変わる
  • 意識の変化が体の変化につながる

トレーニングの質は意識で変わる

筋肥大を起こすためのトレーニングでは、鍛えている筋肉を意識しなければならない。また、筋肥大につながるトレーニングのコツは、トレーニングの習慣化ではなく、追い込みの習慣化である。

鍛える筋肉を意識する

まず、いま鍛えている筋肉が、トレーニングでしっかりと負荷をあたえられているか?ということを意識しなければならない。

流れ作業のように重量を上げたり下げたりしているだけでは、脳が筋肉を必要な細胞と認識しない。「上げる」または「下げる」動作をとおして、どの筋肉が「収縮」または「伸長」しているのかを意識することが大切だ。

初級者であれば、筋肉の動きをしっかりと意識できるまでは、ゆっくりとした動作でトレーニングをする。そうすることで、筋肉に「効く」という感覚を養うことができる。

追い込みを習慣化する

筋肥大するためには、習慣化による継続的なトレーニングが必要だ。しかしながら、その本質は、トレーニングの習慣化ではなく、筋肉を追い込むことの習慣化であるべきだ。

トレーニングを長く続けていればいるほど、トレーニングすること自体が目的になりがちだ。トレーニングの質を最大化できていれば問題はないが、多くの場合は手段の目的化にほかならない。

習慣化すべきは、トレーニングの目的である筋肥大を達成するための手段、つまり、「追い込み」にある。人は本能的に力を制御するため、10RM3セットを目標にするよりも、前回から1回(1g)でも多く(重く)、レップ数(重量)を増やすことを意識するべきだ。

食事などの生活習慣も意識で変わる

摂取するカロリーは、PFCバランスを考えて意識的にコントロールしなくてはならない。また、睡眠不足によるストレスの増加は、トレーニングと栄養摂取の効果をなくしてしまうどころか、筋肉の減少につながることもある。

カロリーはコントロールする

太るか痩せるかは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスで決まる。とくに、摂取するカロリーはコントロールできていなくてはならない。

筋肥大が起こるには、摂取カロリーが消費カロリーよりも多い状態、つまり、オーバーカロリーになっていなければならない。摂取カロリーが消費カロリーよりも少ない状態であるアンダーカロリーでは、筋肥大は起こらない。

オーバーカロリーであっても、十分な量のたんぱく質が摂取できていなければ、筋肉の材料が不足することになる。また、炭水化物が不足すると、トレーニングのパフォーマンスも低下する。つまり、炭水化物の不足が、トレーニングで追い込みを妨げている原因かもしれない。

いずれにせよ、PFCバランスを意識した食事は、トレーニングと同じだけ大切である。トレーニング後の筋肥大だけでなく、トレーニング中のパフォーマンスにも影響するということだ。

睡眠はなによりも大切である

睡眠の質と量は、筋肥大に影響する。ストレスフルな生活習慣から睡眠が不足すると、心理的なストレスが高まる。ストレスが高まると、筋肥大が起こらないか、トレーニングによって筋肉が減少することすらある。

筋肉の分解と合成は、つねに人の体のなかで起こっていることだ。一般的な生活をしている場合、筋肉の分解と合成は均衡する。筋肥大を起こしたい場合、トレーニングによって合成が優位になるホルモンを分泌し、筋肉を合成するための材料となる栄養を体に送り込む。

しかし、睡眠不足によるストレスの増加は、合成よりも分解を優位な状態にする。そのような状態でトレーニングを続ければ、トレーニングをした分だけ筋肉が減少するという、おそろしい状態におちいる可能性もある。

意識の変化が体の変化につながる

あつかう重量や種目を変えることで、トレーニングにおいてしっかりと筋肉を追い込むことができる。また、筋肉の材料となるたんぱく質や、トレーニングのパフォーマンスに影響する炭水化物、クレアチンなどを摂取することも有効だ。さらに、オーバートレーニングや心理的なストレスが及ぼす影響を認識して、ストレスは避ける工夫をすることは、筋肥大だけなくQOLの向上に寄与するだろう。

筋肉を追い込む工夫をする

トレーニングで目的の筋肉を確実に追い込むには、あつかう重量を変えることや、トレーニング種目を変えることが有効である。

普段より重い重量

あつかう重量を普段より重くすることは、筋肉への新しい刺激となる可能性がある。その結果としてトレーニングのレップ数は下がるが、トレーニングのボリュームは増えるかもしれない。

トレーニングにはポジティブとネガティブという2種類の動作がある。ポジティブは一般的に重量を上げる、つまり、筋肉を収縮させる動き(コンセントリック)だ。

普段よりも重い重量でトレーニングをするということは、より強い力で筋肉を収縮させるということだ。筋肉にとって、高強度の収縮は新しい刺激である。

普段より軽い重量

ときには、あつかう重量を軽くすることも有効だ。結果としてトレーニングのレップ数は上がる。重量を軽くすることは、これまで以上に鍛えている筋肉に集中する、ということを意味する。

鍛えている筋肉に集中することは、ネガティブの動作を意識するということでもある。ネガティブの動作はポジティブの動作とは逆にウェイトを下げる、つまり、筋肉を伸張させる動作(エキセントリック)だ。

初級者のトレーニングにおいて、筋肉を伸長させることに意識を集中させる人は少ない。伸長を意識すると、レップ数は下がるかもしれない。しかし、それだけ筋肉への新しい刺激になっているということでもある。

普段と異なる種目

トレーニングの種目を変えることも、筋肉へ新しい刺激をあたえるには有効である。

筋肉には紡錘状筋(ぼうすいじょうきん)と羽状筋(うじょうきん)といった「形状」の違いのほか、速筋、遅筋といった「筋繊維」の違いもある。「形状」や「筋繊維」は筋肉の部位によって異なる。そのため、筋肉には、高負荷のトレーニングで強い刺激をあたえることができる部位と、高レップのトレーニングで強い刺激をあたえることができる部位がある。

どの筋肉がどのような形状をしていて、どのような筋繊維で構成されているかは重要だ。しかし、部位の特性に合わせたトレーニングとは逆のトレーニングを取り入れることも有効である。

また、筋肉に占める速筋と遅筋の割合は、先天的に決まっている。つまり、速筋と遅筋の割合は人によって異なるということだ。したがって、すべての人に共通して最適なトレーニング種目はないということでもある。

サプリでコントロールする

食事だけで十分な栄養を摂取して、筋肥大に適当なマクロ管理をすることはむずかしい。これを解決するためには、サプリメントを摂取することが有効だ。また、PFCだけでなく、トレーニングの質を左右するサプリメントも検討するべきだ。

プロテイン

ふつうの食事のみで、体重の2倍や3倍といったたんぱく質を摂取することはむずかしい。たんぱく質の摂取を増やそうとすると、同時に脂質や炭水化物も摂取することになる。

オーバーカロリーになることは大切だが、オーバーカロリーも度が過ぎれば体脂肪になってしまう。プロテインであれば、不足するたんぱく質だけを効率的に摂取することができる。

マルトデキストリン

炭水化物の摂取は、トレーニングのパフォーマンスに直結する。しかしながら、トレーニングの直前やトレーニング中に、米などの食事を摂取することはむずかしい。

そのときは、マルトデキストリン(=粉飴)を摂取する。マルトデキストリンは水に溶けやすく、自分で栄養ドリンクをつくることができる。実際に市販されている栄養ドリンクの主成分は、炭水化物である。

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  • メディア: ヘルスケア&ケア用品

クレアチン

クレアチンは、筋トレのような無酸素運動において、筋肉の持久力を伸ばす効果が期待できる。筋肉の持久力を伸ばすことは、トレーニングのボリュームを増やす。つまり、トレーニングの質を上げることができる。

クレアチンは多くの人にその効果が期待でき、リスクがなく、安価だ。

ストレスを避ける

オーバートレーニングは筋肉の減少につながる。また、心理的なストレスをかかえた状態でトレーニングをしても、質の高いトレーニングはできない。

オーバートレーニング

過度なトレーニングは筋肉の分解を促進する。ひとつの部位につき、週10〜20セットが適当なボリュームであり、20セットを超えると、オーバートレーニングになるといわれている。

つまり、鍛える筋肉の部位を5分割しているならば、ひとつの部位につき3〜4種目を週に1回で十分だ。オーバートレーニングは身体的なストレスだけでなく、倦怠感などの心理的なストレスにもなる。

心理的なストレス

筋肥大を起こすためにあたえるストレスは、質の高いトレーニングによる身体的なストレスだけで十分だ。過度に心理的なストレスがともなう環境でのボディメイクは、筋肥大には逆効果である。

心理的なストレスを感じているときは、体に休息をあたえる。体と精神の状態は相互に影響を及ぼしあっている。睡眠不足のなかでむりをしてトレーニングをするくらいであれば、その時間を休息にあてるべきだ。

意識を変えるためにできることは?

筋トレの伸び悩みを解決したいと考えたとき、すでに意識の変化は起こっている。この意識の変化をより具体化していく方法を考える。

トレーニング環境を変える

たとえば、これまでジムでトレーニングをしていたなら、別のジムへ行くことや、普段とは異なる時間にトレーニングをしてみる。または、自宅にトレーニング環境を揃えてしまうことも有効だ。

自宅でトレーニングができるようになると、移動にかかる時間が節約できる。また、ジムで起こりがちな順番待ちの時間や、それによるストレスをなくすことができる。

ラックを自宅に設置することはむずかしいが、可変式ダンベルとベンチ程度は置くことができるかもしれない。まずは、自宅でもできるトレーニングから始めてみるのがよい。

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インプットを増やす

トレーニングは、筋肉やトレーニングフォームに関する知識を総動員して再現する、アウトプットの機会だ。アウトプットをとおして学ぶことも多いが、ときにはインプットを増やすことも有効だ。

最近はYouTubeでさまざまなトレーニング動画が視聴できる。あらためてトレーニングのフォームをインプットしたり、筋トレにかかるさまざまな知識をインプットすることもおもしろいだろう。