ダンベルの適正重量は?自宅用のおすすめは?

はじめてダンベルをつかったトレーニングをするときや、自宅トレーニングのためにダンベルを購入するとき、適正重量が分からないことがある。今回はダンベルの適正重量と自宅トレーニングについてまとめる。

バーベルから割り引いて60kgのプレート可変式ダンベルセットを買うべき

ダンベルの適正重量は、身長や体重から機械的に計算できるものではない。なぜなら、トレーニングであつかう重量は、それまでの経験やその日の体調によっても変わるからだ。

しかしながら、たとえば、バーベルトレーニングであつかう重量を基準とすれば、ダンベルの適正重量はある程度計算することもできる。

ここでは、バーベル種目を基準としたダンベル種目の適正重量と、自宅トレーニング向けにダンベルを購入するときの最適解を考えたい。その答えは、ダンベル種目はバーベル種目から割り引いて考えるべきで、60kgのプレート可変式ダンベルセットを購入するべきだ。その理由は下記のとおりである。

  • バーベルよりは重量が下がる
  • 可変式はコスパに優れている

バーベルよりは重量が下がる

ダンベル種目は、バーベル種目よりも可動域が広くなることがほとんどだ。また、バーベル種目のように重量を左右に分散することや、重心を安定させることがむずかしい。種目によって異なるが、これらから、重量を割り引いて考えなければならないことが分かる。

バーベルとは可動域が異なる

まず、ダンベル種目とバーベル種目の違いだ。ダンベル種目とバーベル種目の最大の違いは、「可動域」が異なることである。可動域とは、関節の可動域のことだ。

バーベル種目では、ほとんどの種目がバーベルを地面に対して水平の状態で動かすことになる。つまり、バーベルの動線には、かならず体幹があるということだ。したがって、動作の始点または終点におけるバーベルの動きは、可動域の限界がくるまえに体幹によって制限されてしまう。

いっぽうで、ダンベルであれば体幹を割って左右前後に重量を保持することができるため、可動域は広くなる。ダンベル種目の可動域がバーベル種目よりも広いということは、バーベル種目にはないストレスを、筋肉と関節が受けているということだ。

ダンベルは片手で保持する

つぎに、ほとんどのダンベル種目が、重量を「片手で」保持しなければならない。ダンベルの左右合計重量が、バーベルであつかう重量とイコールになることはほとんどない。

バーベル種目では、両手で重量を支えることによって、左右の筋力の差をカバーすることや、重心を安定させることができる。つまり、腕の筋力をボトルネックにすることなく、ターゲットの筋肉へ負荷をかけることができる。

ダンベル種目では、バーベル種目のメリットを享受することはできない。両手または体全体で重量を安定させるバーベル種目に対して、ダンベル種目では左右それぞれの腕で、ダンベルの重量を安定させなくてはならない。

部位や種目によって差はある

以上をふまえて、実際にバーベル種目からダンベル種目へ移行したときの、重量の変化をまとめておく。

胸;50〜60%

ベンチプレスをバーベルからダンベルへ移行したとき、両手の合計重量はバーベルの50〜60%になった。ウォームアップはより低重量を意識し、安全にスタートポジションがとれる重量からはじめた。

ダンベルベンチプレスでもっともむずかしいのが、スタートポジションをつくる動作だ。バーベルの場合は、ラックアップ時の負荷を、肩甲骨からベンチに分散させることができる。しかし、ダンベルの場合は、両手でダンベルを保持する筋力と、ダンベルを保持した状態で仰向けになる体幹の筋力が必要となる。

ダンベルベンチプレスの動作に慣れていない場合、いきなり高重量をあつかうことは非常に危険だ。また、バーベルのように重量を左右へ分散することができないため、手首の安定性も下がる。リストラップで手首を安定させるべきだ。

背中;50〜60%

デッドリフトの動作は、バーベルとダンベルのあいだで大きな差はない。しかし、あつかう重量はベンチプレス同様、50〜60%をターゲットにした。

そもそも、デッドリフトはもっとも高重量があつかえる種目である。そのため、バーベルデッドリフトの重量をダンベルで再現しようとすると、片手であつかう重量も重くなってしまう。しかし、残念ながら片手で保持することのできる重量には限界がある。

また、バーベルデッドリフトよりも筋肉の収縮が大きい。つまり、可動域が広く、腰への負担を気にしなくてはならない。リフティングベルトで腰をしっかりと安定させるべきだ。

脚;60〜70%

スクワットは、BIG3のなかでもっともバーベルとダンベルの違いがでる種目だ。ダンベルスクワットも高重量をあつかうことができるが、それでもバーベルの60〜70%といったところだ。

まず、バーベルスクワットとダンベルスクワットでは、重心の位置が異なる。そのため、ダンベルスクワットはフォームの習得に集中するべきである。バーベルスクワットのように、下半身がフリーな状態にはならないからだ。

また、スクワットも比較的高重量をあつかう種目であることから、片手で保持できる重量にも、限界があることを認識しなければならない。

肩・腕;80〜90%

肩や腕のトレーングは、そもそもがダンベル種目であることも多い。そのため、比較対象はEZバーやケーブルマシンになる。BIG3ほどに差はないが、それでも80〜90%になる。

EZバーのように両手で重量を保持できないことや、ケーブルのように安定した動作を再現することがむずかしいためだ。

可変式はコスパに優れている

ジムダンベルは、価格と設置スペースというふたつのコストで割高だ。また、アジャスタブル式ダンベルは、それ単体で完結してしまうため、意外にも制約が多い。プレート可変式ダンベルは、これらの欠点をなくした、自宅トレーニング向けのダンベルでは最適解となる。また、ベンチなども購入してしまえば、ジムへ行く必要すらなくなり、コストパフォーマンスはさらに上がる。

ジムダンベルのコストは高い

まず、定重量の「ジムダンベル」だが、ふたつのコストで割高になる。

ひとつは、単純に導入コストだ。定重量のため、種目ごとに適正な重量を使用するとなると、1kg単位で購入していかなければならない。

ふたつめは、スペースの問題である。1kg単位でジムダンベルを揃えると、11〜20kgのジムダンベルだけでも、10*2で20個分のスペースが必要になる。

ジムダンベルの造形はきれいで、シャフトが飛び出していることもないため、トレーニングがしやすいことは間違いない。しかしながら、自宅トレーニング向けにジムダンベルを揃えるには、コストという問題が大きくのしかかってくる。

アジャスタブル式は制約が多い

つぎに、「アジャスタブル式ダンベル」だ。ジムダンベルよりも価格、スペースの点では低コストだが、意外にも制約が多い。

制約というのは、重量の設定があまり細かくできないことと、独特なかたちをしているため、使用できる種目が制限されてしまうことだ。

ジムダンベルと同じく、シャフトが飛び出していないのであつかいやすいが、プレートを流用することなどができない。つまり、アジャスタブル式ダンベルは、それひとつでトレーニングを完結させなくてはならないということだ。

可変式は低コストで流用もできる

結局のところ、自宅トレーニング向けにダンベルを購入するなら、「プレート可変式ダンベル」が最適解となる。ジムダンベルよりは低コストであり、アジャスタブル式ダンベルよりも制約が少ない。

プレート可変式のダンベルは、シャフト「径」さえあっていれば、プレートをバーベルやEZバーに流用することができる。一般的にジムなどに置いてあるバーベルは、50mm径のオリンピックシャフトだ。

しかし、自宅用であれば、25〜28mm径のものが多い。プレート可変式ダンベルからバーベルまであつかっているメーカーであれば、統一した規格を採用しているので問題はない。

バーベルよりもあつかう重量が下がるとはいっても、重量は重ければ重いほうがよい。ほとんどが左右合計60kgのセットが最大重量になっているため、こちらを購入するべきだ。あとからプレートを買い足すこともできるが、プレートの追加購入は割高になるためだ。

さらにコスパを上げるものがある

また、プレート可変式ダンベルといっしょにいくつかのものを購入することで、ジムから自宅トレーニングへの完全な移行ができる。そうすることで、コストパフォーマンスの向上を期待することができる。

ベンチ

ベンチがあることで、圧倒的にあつかえるトレーニング種目が増える。とくに、背面の角度調整ができるインクラインベンチがおすすめだ。

インクライン(とできればデクライン)機能があることで、トレーニング種目のバリエーションは2倍以上になる。また、フォールディング機能があれば、スペース問題を解決することもできる。

ジムにある業務用のベンチとくらべると、どうしても作りにチープさがあるのは事実だ。とくに、座面の角度が固定されていることが多い。しかし、ある程度の妥協は必要なため、安価だがしっかりと足が安定するものがよい。

プレートラック

プレートラックには、スペースというコストの削減と、トレーニングの質向上というふたつのメリットがある。

まず、プレートラックを使用することで、プレートを一箇所にあつめることができる。平積みでもプレートを保管することはできるが、プレートを取ったり置いたりするときに、指を挟み込むリスクがある。

また、プレートラックは床面よりも容易にプレートへアクセスできることで、重量の設定変更が楽になる。実際に、トレーニング中にはその利便性が実感できるはずだ。

マット

忘れがちだが、ダンベルとベンチで自宅にトレーニング環境をつくる場合、マットは必須だと考える。集合住宅では隣接する部屋への配慮として当然だが、戸建てであっても、自宅トレーニングの環境を改善することに役立つ。

トレーニングマットは、予期せぬダンベルの落下による床の傷防止だけでなく、防音効果やトレーニング品質の向上に効果がある。たとえば、デッドリフトやスクワットなど、足の位置を安定させる必要がある種目、ベンチを使用する種目において、その安定性を向上させることができるからだ。

自宅トレーニングのメリットとは?

自宅トレーニングのメリットを考える。ジムへ行けば、パワーラックで高重量をあつかうことができるが、自宅にパワーラックを設置することはむずかしい。このデメリットを超えるメリットが、自宅トレーニングにはあるのか?

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費用を削減できる

自宅トレーニングへ完全な移行ができると、ジムの月会費は削減することができる。ジムにかかる年間コストを計算すると、10万円近いコストがかかっていることが分かる。

自宅にトレーニング環境をつくることは、それなりの費用がかかる。実際に、60kgのダンベルセットおよび、ベンチ、プレートラック、マットなどで、6〜7万円といったところだ。

しかし、先ほどの計算のとおり、自宅トレーニングへ完全に移行してしまえば、1年間で回収できるコストである。

時間を削減できる

自宅トレーニングにおける最大のメリットは、むだな時間を削減できることだ。

むだな時間とは、ジムへ移動するためにかかる時間や、ジムでラックやマシンを使うための待ち時間だ。このような「むだ」をなくすことで、より密度の高いトレーニングができるだけでなく、不要なストレスも削減することができる。