筋トレではPFCバランスを意識するべきか?

プロテインを飲んでいるトレーニーは多いが、ほかの栄養素にまで気をつかっているトレーニーは少ない。トレーニングではバランスよく鍛えることが大切なのと同じで、食事もバランスよく摂らなければならない。今回は筋トレとPFCバランスの関係をまとめる。

PFCとは?

人が摂取するカロリーは、三種類の栄養素に分解できる。この三種類の栄養素は、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の頭文字をとって、PFCと呼ばれている。

たんぱく質はもっとも重要だ

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が結合した化合物である。そして、アスリートやトレーニーは、たんぱく質の摂取が重要課題であることを認識しなければならない。

なぜなら、三大栄養素のうち、筋肉の材料となるのはたんぱく質のみだからだ。たんぱく質は、体内で消化されてアミノ酸へ分解されたのち、筋肉や骨、臓器などの材料か、エネルギーとして使用される。すなわち、たんぱく質が不足すると、分解した筋肉を修復するための材料が枯渇してしまう。これが、たんぱく質の摂取を重要課題と認識するべき理由だ。また、たんぱく質がエネルギーとして使用されるときは、1gあたり4kcalのエネルギー量となる。

脂質は摂取量に気をつける

脂質はホルモンを生成する。筋肥大には欠かせない、テストステロンもホルモンである。つまり、脂質はホルモンバランスを正常化するためには、必要な栄養素である。しかし、その摂取量には気をつけなければならない。

脂質は、1gあたり9kcalのエネルギー量がある。たんぱく質や炭水化物の2倍以上だ。ラーメンや揚げ物が太ると言われる理由は、脂質を多く含んでいることで、ハイカロリーになるためだ。

炭水化物はパフォーマンスに影響する

たんぱく質と同じように、炭水化物もアスリートやトレーニーにとっては重要な栄養素だ。しかし、たんぱく質がトレーニング後の回復に必要なことに対して、炭水化物はトレーニング前〜中にその効果を発揮する。

これは、炭水化物が体を動かすエネルギーとなるためだ。また、体のエネルギーになるだけでなく、脳のエネルギーともなる。脳がエネルギーとして使用できるのはグルコース、つまり、ブドウ糖だけだ。炭水化物が不足することで運動パフォーマンスが低下したり、頭がさえないと言われるのは、このためである。炭水化物1gあたりのエネルギー量は、たんぱく質と同じ4kcalである。

カロリーは同じでも影響は異なる

ある食べもののカロリーは、PFCに分解することができる。たとえば、同じ200kcalの食べものでも、たんぱく質50gで200kcalなのか、脂質20gと炭水化物5gで200kcalなのかで、体にあたえる影響は異なるということだ。

ここまでに説明したとおり、PFCの使い道には特徴がある。あらためて、PFC1gあたりのエネルギー量をまとめると、下図のようになる。

栄養素 エネルギー量
たんぱく質 4kcal
脂質 9kcal
炭水化物 4kcal

筋トレに最適なPFCバランスは?

PFCが体にあたえる影響が分かったところで、筋トレをしているトレーニーに最適なPFCバランスをまとめよう。

摂取/消費カロリーから考える

まず、増量するにしても減量するにしても、摂取するカロリーと消費するカロリーは、定量的に計算しなくてはならない。

筋肉をつけたいならば、摂取カロリーが消費カロリーよりも多い状態になくてはならない。また、体脂肪を落としたいならば、摂取カロリーが消費カロリーよりも少ない状態になくてはならない。つまり、太るも痩せるも、摂取/消費カロリーのバランス次第であるということだ。これは、ボディメイクをするうえでの、絶対的な原則である。

摂取カロリーに占めるPFCの割合は、目標摂取カロリーから計算するべきであって、摂取カロリーはPFCの積み上げから計算するものではない。まずは、太りたいのか痩せたいのかで摂取するカロリーを決めてから、PFCのバランスへ落とし込むべきだ。

たんぱく質は除脂肪体重の3倍g摂る

筋肉を合成する材料であるたんぱく質は、つねに十分な量を摂取しているべきだ。そのため、摂取するカロリーをPFCで分解したとき、最初に設定するべきはたんぱく質であり、その量は除脂肪体重の3倍gである。

たんぱく質の摂取量と筋肥大の相関関係について、多くの研究がポジティブな結果を示している。また、厚生労働省は、成人男性が1日に摂取するたんぱく質の推奨量を、65gとしている。しかし、すべての成人男性が摂るべきPFCバランスが同じわけもなく、そして、65gはあまりにも少ない。トレーニーのあいだでは、たんぱく質は体重の3倍gは必要という意見もあることから、除脂肪体重の3倍gが多すぎるということはない。

しかしながら、除脂肪体重の3倍gのたんぱく質を、通常の食事のみから摂取することはむずかしい。この量のたんぱく質を食事から摂取しようとすると、脂質や炭水化物も同時に摂ることになるためだ。プロテインパウダーであれば、たんぱく質のみを好きなタイミングで摂取することができる。オプティマムニュートリションのゴールドスタンダードは、世界でもっとも売れているプロテインパウダーのひとつである。

脂質は摂取カロリーの20%に抑える

脂質はハイカロリーのため、摂取量を抑えるべき栄養素だ。とくに、減量することを目的としている場合、脂質の摂取は極限まで制限するべきである。しかし、ホルモンバランスを整えるという役割もあることから、まずは、摂取カロリーの20%を目標とする。

脂質が摂取カロリーに占める理想的な割合は、20〜25%と言われている。逆に考えれば、体のメンテナンスには、20%の脂質摂取で十分ということだ。つまり、あとはどれだけ20%から脂質を減らしていって、ホルモンバランスを正常に保てるかという問題である。

もし、脂質の摂取がうまくコントロールできて、質にまでこだわることができるのであれば、脂質のなかでも体脂肪になりにくい(≒分解が早い)「中鎖脂肪酸」中心のMCTオイルを摂取することが望ましい。MCTオイルは、ケトジェニックでも中心的に摂取される脂質である。

炭水化物は残りから計算する

炭水化物の摂取量は、摂取カロリーからたんぱく質と脂質の摂取量を除いた残カロリーより計算する。

炭水化物が運動パフォーマンスに影響するとはいっても、ボディメイクをしていくなかでは優先度がもっとも低い。つまり、摂取カロリーをPFCに分解したとき、もっとも大切な「たんぱく質」の摂取量を決めて、必要最低限に「脂質」の摂取量を制限したのち、「炭水化物」の摂取量が決定される。

穴埋め的に摂取量が決まる炭水化物は、ある意味でコントロールがむずかしい場合もある。そのようなときは、粉飴というかたちで摂取することができる。粉飴であれば、炭水化物をトレーニング前〜中に集中して摂取することもできる。

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最後に

PFCバランスを意識した食事をはじめると、食べられるものが制限されることに気づく。そのようなときに役立つのが、サプリメントだ。

筋トレをするからプロテインを飲むのではなく、食事だけでは適当なPFCをまかなえないとき、サプリメントによって補給をするという考え方が正しい。

実際、サプリメントは「捕捉」や「付録」といった意味になる。つまり、サプリメントの摂取には、定量的な目標設定があって、目標を達成するための努力をしているとき、それをサポートする役目があるということだ。